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2015.12.17
現在、特定派遣業に登録して、社員を派遣している会社が多くあります。
特定派遣業とは、自分の会社で雇用している社員を派遣する方法です。
もし、派遣先との契約が切れても、自社に戻ってくるだけであり、給料を支払い続けます。
派遣される人にとっては、突然、給料がゼロになることもなく、安心です。
そのため、特定派遣業の申請は、1日で受理してもらえて、要件もほとんどありません。
一部のシステム開発会社では、特定派遣業であるのか、システム開発の請負業であるのか、契約書だけでは判断できず、もし派遣法違反だと言われると面倒なので、この特定派遣業の申請を出しています。
一方、一般派遣業とは、登録してもらっている人を派遣するのですが、派遣先との契約が切れると、その人は、登録者というだけで、給料がもらえるわけではありません。
突然、契約が切られることが決まり、「来月から、もしくは来年から、もう来なくてよいよ」と言われるリスクがあるのです。
派遣元の会社と、派遣先の会社との契約について、派遣される人がとやかく言うことができるはずもありません。
派遣元の会社のモラルが求められるとともに、許可される要件も厳しくなっています。
今までは、この2種類があったのですが、平成27年10月1日から、特定派遣業という制度はなくなり、一般派遣業に統一されました。
これからは、呼び方は、一般派遣業と呼ばずに、「派遣業(もしくは、派遣事業)」に統一されます。
すべてが派遣業となることで、派遣される人の中は、今までよりも、不安定な立場になることもあります。
もし、派遣元の会社が小さいと、派遣先の条件を飲まされて、結果、派遣される社員の不利益になるでしょう。
そこで、「派遣業」の登録をするためには、3つの新しい要件が加えられました。
この要件は、3年間の経過措置期間のうちに、現在の一般派遣業の会社だけではなく、特定派遣業の会社も満たして、「派遣業」に登録する必要があります。
(2)基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること。
(3)自己名義の現金・預金の額が1500万円に派遣事業を行う事業所の数を乗じた額以上であること。
ここで、(2)はそれほど厳しくない要件であり、(3)に関しても、登録するときに、会社に現預金がなければ、売掛金を一時期だけ、銀行で割り引けば、クリアできる要件となります。
とすると、最もクリアするのが面倒なものが、(1)となります。
社長の手元に2000万円があれば、それを資本金として増資する、もしくは、すでに特定派遣を行っているとすれば、現在の資本金があるので、そこに追加するということでクリアできます。
でも、現在の特定派遣の会社が債務超過になっていると、2000万円以上のお金が必要となり、クリアするのが難しいと考えてしまうかもしれません。
このときは、会社分割を使いましょう。
会社分割は、元の会社から引き継ぐ資産と負債を選べます。
もちろん、事業を分割することが前提なので、資産は自由に選べないのですが、負債については、債権者の同意があれば、かなり自由に選択できます。
つまり、現在の特定派遣の会社が債務超過であっても、会社分割することで、会社の基準資産額を2000万円にすることができます。
ただ1つだけ、注意することは、会社分割するためには、2-3ヶ月の時間がかかること、現在の会社の債権者に事前に説明を行い、了承を得ることが必要です。
特定派遣業で派遣していた社員にとっても、将来、困ることがないように、早めに会社分割を行い、要件を満たし、派遣業の登録申請をしておくべきだと思います。
会社分割について、詳しく知りたい方は、弊社まで、ご連絡ください。