今どき、リスケできるのは当たり前で、銀行の条件を飲むだけでは、企業再生できない

銀行からお金を借りるときに、分厚い契約書に実印を押しているため、そこに書かれている条件を変更するのは、無理だと思い込んでいる人もいるかもしれません。
この条件を変更することを、リスケジュール、略して、「リスケ」と呼んでいます。

現在は、政府の指導もあり、銀行はリスケに対して、あまり抵抗せずに応じてくれるようになっています。
しかも、リスケした会社でも、銀行として「要注意先」に区分すればよいことになったので、貸倒引当金は約5%でよいことになります。
つまり、1億円を貸していた会社がリスケをしても、銀行は500万円を貸倒という経費に計上するだけよいのです。残りの9500万円は、回収できる見込みという処理となり、自己資本比率への影響も小さくなっています。

今までは、会社の業績が悪くなり、資金繰りが詰まったら、新規融資を申し込める銀行を探しましたが、今は、真っ先に、すでに借りている銀行とリスケの交渉をした方が早いのです。

ただし、銀行とリスケを交渉するときには、

  1. 事前に、必ず、準備しておくこと
  2. 交渉のときに、絶対、やってはいけないこと

があります。
これを間違えると、リスケができない、新規融資に方向転換する時間もない、という最悪の事態になってしまいます。

まず、リスケとは、具体的に、どの条件を、どのように変更することなのでしょうか?

リスケとは、銀行への元本返済を減らすことです。

では、減らすというのは、いくらまで? そして、いつまで? なのでしょうか。

6ヶ月間、または1年間、元本返済を限りなくゼロ円にすることです。

本当に、元本返済をゼロ円にできるのでしょうか?

銀行との関係で、20%は返済しなくてはいけないこともありますが、3%まで交渉できることもあります。ときには、本当に元本返済がゼロ円になります。
例えば、3%でよいとなれば、97%は、その期間の元本返済を待ってもらえるので、相当、会社の資金繰りはよくなるはずです。
なお、金利の支払いまで待ってもらえることは、ほとんどありません。

このリスケの期間が過ぎたら、どうなるのでしょうか?

原則は、今までと同じ金額の元本返済が始まります。

ここが、リスケを行なう上で、一番のポイントです。
というのは、業績が悪くなって、資金繰りに詰まった会社が、たったの6ヶ月間や1年間で、企業再生できると思いますか?

現実的には、無理でしょう。

でも、安心してください。銀行も、そんなことは分かっています。
今まで、何千社、何万社とリスケを行なってきて、6ヶ月間や1年間で、企業再生などできないという統計資料も持っているはずです。

だから、リスケの交渉をするときに、「事前に、必ず、準備しておくこと」とは、10年ぐらいまでの事業計画書と資金繰り表を作ってしまうことなのです。

もちろん、銀行に、その資料を見せて説明したからといって、「5年間は元本返済をしなくてもよい」などと、やさしい条件を提示してくれるわけではありません。
それでも、最初から、「6ヶ月間、または1年間での企業再生は難しいけれど、全額を返済できる計画を作って、持ってきました」と言っておけば、銀行だって、リスケの期限が来たときに、いきなり、返済金額を元に戻すということはなくなります。
新しいリスケの条件を、最初の事業計画書と、実際の決算書を見比べながら、話し合うことになるのです。

「最初の1年間は通常の元本返済の3%、2年目から5年目までは50%、5年目から10年目で、残りを返済する」と交渉できれば、企業再生も現実的になります。

しかも、リスケの期間が来るたびに、ビクビクせずに、事業に専念できるでしょう。
それで、企業再生が早まれば、会社にとっても、銀行にとっても、よいことなのです。

事業計画書、または資金繰り表を作成したい方は、こちらから

次に、リスケを交渉するときに、「絶対、やってはいけないこと」ですが、これは2つあります。

まず、1つ目は、「過去も含めて、ウソをついてはいけない」ということです。

銀行から今までお金を借りるために、悪いことだとは知りながら、粉飾決算を行なってしまった会社もあるはずです。
ここまできて、過去の粉飾の言い訳を考えても、時間の無駄です。
正直に、どこが粉飾であったのかを思い出して、本当の決算書に作り直しましょう。
リスケの交渉をしているときに、粉飾して利益を出している決算書を見せても意味がありません。
あとで、ウソがばれたら、リスケの交渉を打ち切られてしまいます。
しかも、6ヶ月間や1年間だけ元本返済の金額を減らすのではなく、10年間での返済計画を作るのですから、現在の決算書がバラ色なのは、逆におかしいはずです。

ウソは、決算書だけではありません。
提出する事業計画書や資金繰り表にも、予測とはいえ、明らかに分かるウソがあってはいけません。
例えば、この1年間で、売上が2倍になるということは、あり得ません。社員と話し合いもせずに、人件費が半分になるというのも、社長の思い込みです。
とにかく、事実に基づいた保守的な予想をしてください。

他の金融機関の状況についても、ウソをついてはいけません。
例えば、都銀と交渉したときに、
「他の銀行との交渉の進捗状況は、どうなっていますか?」
と聞かれ、
「他の銀行は、すべてリスケを快く承諾してくれました」
と言って、あとで、それがウソだとばれたら、リスケの交渉は打ち切りになります。

とにかく、リスケをして欲しいとお願いしているときに、ウソはすべてを台無しにしてしまうのです。

銀行とは、真正直な心で話し合いましょう。

2つ目は、こちらができることと、できないことをハッキリと伝えることです。

通常、リスケを行う時には、銀行は手数料と金利のアップを言ってきます。
銀行によっては、追加の保証人や担保の差し入れを要求してくることもあります。
それ以外でも、売上の口座を移して欲しい、毎月、積み立てをして欲しいと言われることもあります。
このとき、こちらは、リスケをお願いしている弱い立場であり、すべての条件を飲まなくてはいけないと勘違いしてはいけません。
銀行に対して、低姿勢で話をするのはよいですが、卑屈になる必要はありません。

銀行はお金を貸すことがビジネスであり、条件変更を一方的に飲むことができないと言っているだけなのです。
リスケの交渉が決裂して、逆に、会社がヘソを曲げて、1円も返済しないとなったら、銀行も困るのです。
あくまで、会社と銀行はビジネスでは対等の立場であり、その中で条件を変更する交渉を行なっていることを忘れてはいけません。

例えば、小売業者が、製造業者と1個の商品を1万円で製造する契約をしていたとします。
そのあと、景気が悪くなり、小売業者が商品の価格を値引きせざる得なくなりました。
そこで、契約の条件を変更するために、製造業者に1個の商品を7000円で作って欲しいと依頼します。
いきなり、30%も原価を下げることは難しいと製造業者は抵抗するはずですが、この交渉で、どちらが強い立場で、どちらが弱い立場ということはありません。
これで、交渉が決裂して、お互いに喧嘩して、製造業者はもう商品を作らない、小売業者もこんな高い商品は売れないとなれば、お互いに損をするのです。
結果的に、商品の材料を少し変えて、1個8000円で作ることを製造業者が承諾すれば、お互いにとって、利益になります。

リスケの交渉も、これとまったく同じです。
もちろん、銀行からの要求を、すべて断ることは難しいかもしれません。
こちらが希望するリスケの条件を認めてもらうためには、先方の条件も、少しは飲まなくては、話が前に進みません。

でも、粘り強く交渉して、話しを続けることで、銀行の要求を最小限にはできます。

特に、追加の保証人や担保の差し入れは、やるべきではありません。
そもそも、リスケするような会社の保証人になる人を探すのは難しいので、無駄に労力を使って、時間も経ってしまいます。それならば、最初から断って、別の条件を飲んだ方がよいでしょう。

また、担保を差し入れることも、それを当てにされ、6ヶ月後や1年後、次のリスケを交渉するときに、応じてくれないことに繋がるかもしれません。
銀行が、担保になっている不動産などを任意売却してもらって、回収した方がよいと判断してしまうこともあるのです。
わざわざ、無理をして差し入れた担保が、企業再生の障害になってしまうのでは、本末転倒です。

通常は、追加の保証人や担保の差し入れは断り、リスケの手数料の支払いと、0.5%から1%程度の金利のアップを認めるぐらいが、落とし所です。

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最後に、もう1つだけ注意すべきことがあります。
リスケの交渉をする前でも、リスケを認めてもらったあとでも、銀行に予告なしで、延滞をしてはいけません。
突然、返済を滞ってしまう会社は、信用されないばかりか、管理ができていない烙印を押されてしまいます。
もし、月末に取引先が突然倒産して、入金がなかったことで、資金繰りが詰まり、返済が滞ったときでも、急いで銀行に説明しに行きましょう。
ハッキリした理由と、すばやい行動があれば、銀行も納得します。
そこで、追加融資を申し込もうか、リスケを交渉しようか、他の方法を探れないのか、悩んでいると、結果的に、銀行を怒らせるだけになります。

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